ホテルやレストランで出されることの多いローストビーフは、サンドイッチやサラダの具としてつかわれていることもあり、気をつけていたのにうっかり食べちゃったということも少なくありません。
妊娠中にローストビーフを食べちゃった場合、大丈夫なのか気になりますよね。
また、ローストビーフが好きだったり、贈り物としていただいた場合、再加熱や冷凍すれば食べられるのかも知りたいところですね。
そこでこの記事では、妊娠中にローストビーフを食べちゃったけど大丈夫なのか、再加熱や冷凍すれば食べられるのか、といったことについてご紹介します。
妊娠中にローストビーフを食べて具合が悪くなってしまった時の対処法についてもお伝えしているので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね!
妊娠中にローストビーフを食べちゃったけど大丈夫?
結論からいうと、妊娠中にローストビーフを食べることは食中毒のリスクを考えるとおすすめできません。
ローストビーフは牛のブロック肉の表面を焼いたあと、オーブンをつかってじっくり低温で加熱調理されるため、中心部の加熱が不十分なことがあります。
ローストビーフは中心部を63℃で瞬時加熱殺菌するように食品衛生法で定められていますが、ローストビーフに寄生していることがあるトキソプラズマを死滅させるためには67℃以上で加熱する必要があります。
★厚生労働省:食肉製品の規格基準
そのためローストビーフは生肉ではないものの、食中毒や寄生虫による感染リスクがあるため、妊娠中は食べることを控えるべきとされているんですね。
トキソプラズマに感染すると発熱や頭痛などの症状があらわれ、お腹の赤ちゃんにも感染するリスクがあります。
妊娠中は飲める薬が限られますし、嘔吐や下痢は子宮収縮を引き起こしたり、早産や流産の原因となることもあります。
また、お腹の赤ちゃんが先天性トキソプラズマ症になった場合、視力障害や水頭症といった症状がでる可能性があることがわかっています。
★NIID国立感染症研究所:トキソプラズマ症とは
もし、ローストビーフを食べてから体調が悪いという場合は食中毒の可能性があるので、すぐに病院を受診しましょう。
また、身体に不調は出ていないけどお腹の赤ちゃんが心配…、という場合もかかりつけ医に相談するのがおすすめですよ。
妊娠中にトキソプラズマの検査をする場合
トキソプラズマの感染の有無やタイミングは、血液検査でトキソプラズマの抗体があるかどうかを調べることでわかります。
ただし、感染してから抗体が検出されるまでには約2週間ほどかかります。
そのため、ローストビーフを食べた直後に検査しても感染が確認できないことがあるので注意が必要です。
このようなことからも感染の有無を確認するためには、ローストビーフを食べてから2〜3週間後に血液検査をうけるのがおすすめですよ。
もしローストビーフを食べた日がはっきりとわからない場合、最後に食べたと思われる日から3週間後に検査を受けることが一般的なので、かかりつけ医と相談しながら、適切なタイミングで検査をうけてみてくださいね!
妊娠中にトキソプラズマに感染したときのお腹の赤ちゃんへの影響
妊娠中にトキソプラズマに感染した場合、妊娠の時期によってお腹の赤ちゃんへの影響は異なります。
トキソプラズマ感染症は、妊娠初期だとお腹の赤ちゃんに感染する確率は低く、妊娠中期から後期にかけて高くなる傾向があります。
しかし、先天性トキソプラズマ症を発症した場合、妊娠初期ほど重症化する確率が高く、妊娠後期ほど低くなることがわかっており、その感染率は以下のようになっています。
- 妊娠初期(4~12週):胎児への感染率は約6%。うち重症化する確率は約60%
- 妊娠中期(13~27週):胎児への感染率は約25%。うち重症化する確率は約30%
- 妊娠後期(28週~出産):胎児への感染率は約65%。うち重症化する確率は0%
つまり、妊娠初期にお腹の赤ちゃんがトキソプラズマに感染した場合、感染率は低いものの、感染してしまった場合は重篤な症状が出る可能性が高まります。
一方、妊娠後期に感染した場合、感染率は高いですが感染しても重症化しないことが多いです。
うっかり食べたものによって赤ちゃんに影響が出るかもしれない・・・なんてことを考えだしたら心配でたまりませんよね。
そのため妊娠中は妊婦さん自身はもちろん、お腹の赤ちゃんのためにもローストビーフを避けるようにするのがおすすめですよ。
ローストビーフは再加熱すれば妊娠中でも食べられる?
では、妊娠している間はローストビーフを食べることはできないのでしょうか?
結論としては、ローストビーフを中心部までしっかり加熱することで妊娠中でも食べることができます!
ローストビーフは低温調理が一般的なため、中心部までの加熱が不十分で、トキソプラズマやリステリア菌、O-157などの食中毒の原因菌が生存している可能性があります。
ただし、75度以上で1分以上加熱すれば死滅させることができるので、再加熱をすることで妊娠中でもローストビーフを食べることはできるんですね♪
ローストビーフを妊娠中に食べる場合はフライパンで加熱するか、電子レンジを使用して再加熱する方法がおすすめですよ!
電子レンジで再加熱する場合は、以下のステップで行ってみてくださいね♪
- ローストビーフを薄くスライスして、平らに広げる。
- ラップを使用せずに、耐熱皿にローストビーフを重ならないように並べる。
- 電子レンジの出力を500Wに設定し、約1分間加熱する。
- 中心部の温度が67℃以上に達していることを確認する。
この方法だとローストビーフの中心部までしっかりと加熱でき、食中毒の原因菌を死滅させることができます。
ただし、再加熱しすぎると味や食感が変わってしまうことがあるので注意してくださいね!
ローストビーフは冷凍すれば妊娠中でも食べられる?
ローストビーフは再加熱すれば妊娠中でも食べることができるのはわかりましたが、冷凍した場合はどうなのか気になりますよね。
こちらも結論からお伝えすると、冷凍したローストビーフは食中毒の危険性があるため妊娠中に食べることはおすすめできません。
食中毒の原因菌や寄生虫は冷凍することで死滅させられることもありますが、低温に強く死滅しない原因菌や寄生虫もいます。
例えばトキソプラズマの場合、-20℃で8時間以上冷凍すれば死滅しますが、リステリアやO-157は低温に強いので冷凍しても死滅しません。
- トキソプラズマ:肉の場合-20℃で8時間以上冷凍すると死滅する
- リステリア:4℃以下でも増殖するほど低温に強く、冷凍しても死滅しない
- 0-157:低温に強く冷凍しても死滅しない
家庭用の冷凍庫は容量が小さいことや開け閉めの回数が多いことから、庫内を低温にたもつことがむずかしいです。
そのためローストビーフを冷凍したとしても食中毒にかかる危険性があるため、妊娠中に食べることは控えるようにしましょう!
妊娠中にローストビーフを食べちゃったときの対処法は?
妊娠中に気をつけてはいたものの、サンドイッチに挟まっていたりサラダの具として提供されたりして、うっかりローストビーフを食べちゃった、ということもありえますよね。
そこで妊娠中にローストビーフを食べてしまった場合の対処法についてご紹介しますね!
慌てず冷静に対応する
まずは、妊娠中にローストビーフを食べてしまったからといって慌てず、冷静に対応しましょう。
ローストビーフを食べたことによって食中毒にかかる可能性はありますが、ローストビーフを食べたからといって必ず感染するとは限りません。
過度に心配せず、体調に変化がないか確認し、冷静に対処しましょう。
状況に応じて病院を受診する
ローストビーフを食べた後に腹痛や下痢、風邪症状など身体に異変を感じたら、すぐにかかりつけ医に相談するようにしましょう。
また、体調に異変がない場合でも、考えこんだり心配しすぎたりするのもお腹の赤ちゃんによくありません。
体調に異変がなくても不安な場合は、検診のときなどにかかりつけ医に相談するのもおすすめですよ。
血液検査によって、感染の有無や感染の時期を詳しく調べることができます。
もし感染が確認された場合、医師の指示に従って適切な治療を受けることが大切です。
今後の食事に気をつける
妊娠中にローストビーフをうっかり食べてしまった場合、今後の食事で同じことがないように気をつけましょう。
ローストビーフに限らず、妊娠中は免疫力が低下しているため感染症に対するリスクが高まります。
そのため妊娠中の食中毒のリスクを減らすためにも、今後はしっかりと中まで加熱された肉料理を選ぶようにしましょう!
妊娠中にローストビーフを食べちゃったけど大丈夫?再加熱や冷凍すれば食べられる? まとめ
妊娠中にローストビーフを食べちゃったけど大丈夫なのか、再加熱や冷凍すれば食べられることができるのかご紹介しました。
妊娠中にローストビーフを食べることは食中毒のリスクがあるため控えることがおすすめです。
もし妊娠中にローストビーフ食べたいと思ったら、中までしっかり火を通してから食べるようにするか、元気な赤ちゃんを出産した後のお楽しみにとっておくのが良さそうですね!
また、うっかり食べてしまったとしても必ずしも食中毒に感染するとは限らないので、体調に変化がないか様子を見たり、かかりつけ医に相談するなどして冷静に対応しましょう。
妊娠中は食事面や生活面で様々な制限がついて回り、心配事も多いですよね。
しかし妊娠期間は人生のうちでも限られた貴重な時間なので、お腹の赤ちゃんと楽しみながら過ごせるといいですね!
元気な赤ちゃんに会える日を楽しみに、素敵なマタニティライフを送ってくださいね♪